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札幌AI勉強会を始めました
この記事でできるようになること読み終えると、AIエージェントを初めて触る人がどこで詰まるかが分かり、社内で教える側に立つときの段取りが見えます。
「札幌AI勉強会」を2026年9月4日に始めました。会場はさっぽろ創世スクエア(札幌市中央区)、参加費は無料です。第1回は、初めて触る方に実際にCodexを動かしてもらうところまでやりました。分かったことは3つです。1つ目、詰まるのはツールの使い方ではなくフォルダとファイルの扱いだということ。2つ目、「何ができるか」の一覧より、決定的な違いを1つだけ先に渡すほうが早いこと。3つ目、教える側にも穴があったこと。参加者からの質問で、自分が見落としていた前提に気づきました。
第1回は2026年9月4日(金)、さっぽろ創世スクエアのミーティングルームに集まって開きました。この手の勉強会を開くのは初めてではありません。医療の現場で働く方たち向けに、生成AIの会を2回ほど開いていました。ただ、AIエージェントを実際に自分の手で動かしてもらう回は、今回が最初です。
自分では毎日作っているので、正直「渡せばすぐ動くだろう」と思っていました。そこが違った、というのがこの日いちばんの収穫です。うまくいった話より詰まった話のほうが役に立つと思うので、そのまま記録します。
01 · Why
なぜ始めたか
理由は2つあります。
1つ目は、自分の側の学びのためです。ひとりで作り続けていると、自分が何を当たり前だと思っているのかが見えなくなります。人に渡してみて初めて、説明が飛んでいる箇所や、前提として置きっぱなしにしていたものが分かります。実際この日、そういう箇所が何か所も出てきました。
2つ目は、仕事を回せる相手を増やしたいからです。ありがたいことに、ご相談いただく案件がひとりで抱えきれる量を超えてきています。同じ道具を同じ水準で扱える人が近くに増えれば、そのまま渡せます。これは勉強会というより、共同で仕事を作る場を育てたい、という動機です。
参加しているのは、不動産や医療といった、いわゆるIT以外の現場で働いている方たちです。プログラミングの経験はありません。普段使っているのはChatGPTです。ここが重要で、この層が自分でエージェントを作れるようになるかどうかが、そのまま中小企業でAIが実務に入るかどうかの分かれ目だと考えています。
02 · Agenda
第1回でやったこと
実際の進行はこうでした。前半が説明、後半は各自の画面で手を動かす時間です。
| やったこと | 中身 | |
|---|---|---|
| 1 | 3つの違いを1点に絞って説明 | ChatGPTとCodexとClaude Codeは何が違うのか。パソコンのファイルを触れるかどうか、この1点だけを先に渡した |
| 2 | 指示書という考え方 | フォルダの中に置いた1枚のテキストが、起動時に読まれる指示書になる。ChatGPTのカスタム指示との違いを実物で見せた |
| 3 | 初期設定用の指示書を配って、各自で動かす | こちらで用意したファイルを渡し、フォルダに入れて「初期設定をやって」と頼んでもらった。ここで一番時間がかかった |
| 4 | フォルダ構成を整えさせる | 「初めて使います。設定とフォルダ構造を最適化して」と頼むと、そのまま整えてくれる |
| 5 | 応用を各自で試す | 外部サービスとの接続、別の端末からの操作など。やりたいことが人によって違ったので、個別に対応した |
3番目に時間がかかったのは、予想外でした。作業そのものは数分で終わります。終わらなかったのは、その前段です。
03 · Friction
実際に詰まったところ
起きたことを順番に書きます。
| 起きたこと | 原因 |
|---|---|
| 指示書を渡したら、ブラウザを開こうとして止まった | 渡していたのがファイルの実体ではなく、メールへのショートカットでした。本人は素直にその先を見に行きます |
| フォルダを指定したのに「何もありません」と返ってきた | 実体はダウンロードフォルダに残っていました。移動したつもりで移動できていなかった |
| 置き直したあと、また同じところで止まった | 「入れ直しました」と伝えていませんでした。人間の側の変化は、言わないと伝わりません |
| 始めようとしたら質問で止まった | 「変更してはいけないフォルダはありますか」と聞かれ、答えが用意されていなかった |
4つのうち3つが同じ性質です。ファイルが、指定した場所に、実体として存在しているか。ここだけで初日の詰まりはほぼ説明がつきます。
これは能力の話ではありません。普段ファイルの場所を意識せずに仕事ができてしまう環境にいると、意識する機会がなかっただけです。ただ、AIエージェントはファイルを直接扱う道具なので、ここが前提になります。教える側としては、説明より先に「実体をこのフォルダに入れてください」を徹底させるべきだったと反省しました。
4つ目は性質が違います。これは安全の話です。何でもできる相手なので、触ってほしくない場所を先に言葉にしておくのが最初の仕事になります。答えが決まっていない方には、散らかっているファイルをまず1か所にまとめて、そのフォルダ名を伝えてもらいました。
04 · Questions
参加者から出た質問
出た質問を、そのまま残しておきます。初めて触る人が何を気にするかが分かるので、社内で教える立場の方には参考になると思います。
| 質問 | その場での答え |
|---|---|
| 指示書は、ツールをまたいで使い回せますか | 中身はほぼ同じで使えますが、ファイル名を変える必要があります。名前が違うと読みに行きません |
| エージェントは何個も作れますか | 作れます。フォルダ1つが1体です。どの階層で開くかで、扱える話題の範囲が変わります |
| パソコンの蓋を閉じている間も動きますか | 設定すれば動きます。ただし発熱とバッテリーの負担があるので、電源につないだ状態が前提です |
| スマートフォンから操作できますか | できます。その場で設定まで進めました |
| 作業を途中で別のツールに引き継げますか | 引き継げます。ただしここは、次の節に書くとおり一悶着ありました |
最後の質問には補足があります。その場でツール本人に聞いたところ「できません」と答えました。ところが実際には引き継ぐ機能があり、あとから判明しました。
ここは覚えておいてください。本人の自己申告が常に正しいとは限りません。「できない」と言われたら、言い方を変えてもう一度聞くか、別の経路がないかを自分で確かめる。この癖があるかどうかで、到達できる範囲がかなり変わります。
05 · Blind spot
教える側が指摘されて気づいたこと
この日、教わったのは参加者だけではありませんでした。
ある参加者から「セッションはどう管理していますか」と聞かれて、答えに詰まりました。自分の中に、その概念がそもそも無かったからです。作業の区切りをどこで入れ、どこまでを一続きとして扱うか。言われて初めて、そこを管理せずにやってきたことに気づきました。
理由ははっきりしています。仕組みを組んだ時期に、その考え方が無かったからです。動いているので問題として表面化せず、指摘されるまで見えませんでした。
ここから引き出した教訓は1つです。自動化した仕組みは、作った時点の前提を固定します。そして動いている限り、誰も見直しません。古い前提だけが静かに残り続けます。定期的に人に見せて指摘をもらうことは、そのための現実的な手段になります。教える側に立つと、自分の穴が見える。これが、この会を続けたい一番の理由かもしれません。
社内でAIエージェントを広げたい、教える側に立つ人を育てたい。そうした段階からご相談いただけます。
- 自社の業務をAIエージェントに置き換えて運用中
- 建設・IT・SaaSの企業でAI顧問として継続支援中
- 研修は年間50回以上・延べ受講者1万人以上
06 · Next
これからどうするか
| 次回 | 内容 |
|---|---|
| 第1回 | 2026年9月4日(金)に開催済み |
| 第2回 | 2026年9月25日(金)に開催済み |
| 第5回 | 2026年10月28日(水)19:00〜21:00 |
| 場所 | 札幌駅・大通駅から徒歩10分圏内の貸し会議室 |
| 参加費 | 無料 |
2026年は12月まで、全9回の日程が決まりました。年内の日程とお申し込みは、札幌AI勉強会のページにまとめています。
定期開催にする予定です。説明の時間は減らして、各自が自分の仕事で実際に手を動かし、詰まったところをその場で聞く形に寄せていきます。第1回で分かったとおり、聞いて分かることより、やってみて詰まることのほうが情報量が多いからです。
参加している方への宿題も1つ出しました。自分の1日の仕事を書き出して、対面でなければ成立しないもの以外を全部任せられないか、一度相談してみるというものです。やってみると、思ったより残らないことに気づきます。そこが面白いところです。
この記録自体も続けます。第2回以降も、詰まったところを中心にそのまま書く予定です。きれいにまとまった手順書より、実際に転んだ場所の一覧のほうが役に立つと思っているからです。
参加のお申し込みは札幌AI勉強会のページからどうぞ。社内向けに同じ内容で実施したい、というご相談は相談フォームから承っています。
07 · FAQ