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札幌のDX・AI導入に使える補助金まとめ
この記事でできるようになること読み終えると、札幌市・北海道でDX・AI導入に使える補助金の全体像と、国の制度との組み合わせ方が分かります。
札幌の中小企業がDX・AI導入で使える補助金は、国の「デジタル化・AI導入補助金」(通常枠 上限450万円・補助率1/2)を軸に、札幌市の2制度を組み合わせるのが基本形です。市の「デジタル化・AI導入促進補助金」(上限225万円)は国の交付決定を受けた企業への上乗せ、「DX・賃上げ加速化補助金」(上限500万円)は賃上げを誓約する企業向けの制度で、どちらも市の伴走支援で「DX推進計画」を作ることが申請の前提条件です。つまり最初の一歩は申請書類ではなく、「自社の何をデジタル化・AI化するか」を固めること。その計画づくりは、専門家が最大8回まで無料で訪問する市の伴走支援で進められます(申し込みは市の専用サイトから)。公募は年度・先着順で動くため、検討は早いほど有利です。
「AIやITを入れたいが、費用がネック」——そんな札幌の中小企業向けに、国のデジタル化・AI導入補助金と札幌市の2つの補助金の関係・金額・申請の前提条件と、その前提をクリアするための伴走支援の中身を、現場目線で整理しました(2026年7月26日時点の情報です)。
01 · Overview
まず全体像:札幌でDX・AI導入に使える制度
制度名が似ていて混乱しやすいので、先に全体像を表にします。ポイントは「国の補助金が土台、市の制度はその上乗せか、賃上げとセットの別枠」という関係です。
表:札幌の中小企業がDX・AI導入に使える主な補助金(2026年7月9日時点)
| 制度 | 補助上限 | 補助率 | ここを押さえる |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金(国・通常枠) | 450万円 | 1/2(要件により2/3) | 土台になる国の制度。旧「IT導入補助金」。ITツール・AI導入費用が対象 |
| 札幌市デジタル化・AI導入促進補助金 | 225万円 | 自己負担額の1/2 | 国の交付決定を受けた市内企業への上乗せ。DX推進計画(伴走支援)が前提 |
| 札幌市DX・賃上げ加速化補助金 | 500万円 | 1/2(市内IT企業と契約で2/3) | 賃上げ(平均3.5%以上)の誓約が条件。設備・事業費・人材育成費まで対象 |
| 人材開発支援助成金 など(研修系) | 制度による | 制度による | AI研修・人材育成の費用はこちら。解説記事参照 |
※ 金額・要件は公募年度で変わります。申請前に必ず各公式ページ(本文中にリンク)で最新の公募要領をご確認ください。
02 · By case
うちの投資は、どの制度が本命か
上の表は制度の側から並べたものです。ただ実際に迷うのは、制度名を覚えていないからではなく、「うちがやろうとしている投資は、そのうちのどれに当たるのか」が分からないからだと思います。名前がどれも「DX」で似ているうえ、窓口が国と市に分かれているので、比較表だけでは自社の位置が決まりません。
そこで引く向きを逆にします。判断の軸は一つで、「そのお金が、何に対して出ていくのか」。ソフトなのか、設備なのか、人なのか、賃上げとセットなのか。ここが決まると、まず当たるべき窓口はだいたい一つに絞れます。
先に断っておくと、下の表に対象になる/ならないの可否は書いていません。可否は公募年度・経費区分・審査で決まるもので、記事の側で断定できる性質の情報ではないからです。書いてあるのは「まずどれを見に行くか」と「公募要領のどこを読めば決着がつくか」の2つです。
表:やりたいことから引く、まず見に行く制度(各制度の枠組みは2026年7月26日確認時点)
| やろうとしている投資 | まず見に行く制度 | 公募要領で確認する一点 |
|---|---|---|
| 生成AIやクラウドサービスを全社に入れる | 国のデジタル化・AI導入補助金。市内企業なら、そのうえで市の上乗せ | そのサービスが「登録されたITツール」に入っているか。ここに入っていないと土台の制度に乗りません |
| 販売管理・会計・勤怠などの基幹システムを入れ替える | 同上(国が土台、市が上乗せ) | ライセンス費だけでなく、移行作業費・初期設定費がどこまで対象経費に含まれるか |
| 自社の業務に合わせてAIエージェント・独自ツールを作る | 同上。ただしここが最も判定の割れる行です | 「登録されたITツールの導入」という枠組みに、受託開発や自社開発がどう位置づくか。記事やまとめサイトを読み比べるより、事務局に直接聞いたほうが早く決着します |
| 現場のパソコン・タブレット・回線を新しくする | 単独ではこの記事の制度の本命になりにくい | 汎用のパソコン購入だけ、という使い方はできません。ツール導入に付随する範囲として認められるかどうか |
| ECサイト・予約システム・自社サイトを作る | 国のデジタル化・AI導入補助金 | 対象ツールの区分と、制作費のうちどこからどこまでが対象経費か |
| 賃上げとセットで、設備・事業費・人材育成まで広く投資する | 札幌市DX・賃上げ加速化補助金 | 2027年(令和9年)3月末までに平均賃金3.5%以上の引き上げを誓約できるか。市内の中小IT企業と契約する場合は補助率が2/3に上がります |
| 製造ラインの設備を省エネ機に入れ替える | 製造業省エネルギー設備導入補助金(DX側ではなく設備側の制度) | 製造業であること。DX推進計画とは別建ての制度なので、伴走支援の前提条件はかかりません |
| 社員に生成AI研修を受けさせる | 人材開発支援助成金など、厚生労働省側の助成金。窓口が別です | 補助金ではなく助成金で、手順も締切も別系統です。賃上げ要件を満たせるなら、DX・賃上げ加速化補助金の人材育成費に含める道もあります |
※ 制度の枠組み・金額・要件は公募年度で変わります。この表は「どこを見に行くか」の当たりをつけるためのもので、申請の判断は必ず各制度の最新の公募要領で行ってください。
いま自社がどこにいるかで、次の一手は3つに分かれます
- 何をデジタル化するかが、まだ決まっていない——制度を選ぶ段階ではありません。市の伴走支援に申し込むのが最短です。市の2制度はどちらもDX推進計画の作成が前提条件なので、ここを飛ばすルートは存在しません。「決まっていないから相談できない」ではなく、決まっていない状態を整理するための支援です
- 投資の中身は決まっていて、国の交付決定はこれから——国のデジタル化・AI導入補助金が先、市の上乗せが後です。市の上乗せは国の交付決定が条件なので、この順番は入れ替えられません。ただし市の側は計画づくりが前提になるため、国の申請と並行して伴走支援にも申し込んでおくと手戻りが出ません
- 賃上げを、すでに経営計画に織り込んでいる——DX・賃上げ加速化補助金のほうが射程が広く、設備備品費・事業費に加えて人材育成費まで届きます。逆に賃上げの道筋がまだ描けていないなら、この枠は選ばないほうが安全です。誓約は補助金を受け取ったあとに残る約束で、後から取り下げられるものではありません
この記事の制度が本命にならない場合
先に書いておきます。次のどれかに当てはまる場合、上の表をいくら眺めても答えは出ません。早めに別の入口へ移ったほうが早く進みます。
- 本社が札幌市外——市の2制度は市内に本社がある中小企業が対象です。国の制度は全国が対象なので使えます。あわせて本社所在地の自治体と、北海道庁の中小企業支援ページを確認してください
- 投資の中身が研修だけ——補助金ではなく助成金の領域で、窓口も手順も別です。AI研修に使える助成金の記事のほうが近道になります
- 今年度中に動く見込みがない——市の事業は件数限定・先着順の運用です。年度をまたぐ前提で検討しているなら、いま読むべきは金額の比較ではなく公募スケジュールのほうです
- 「補助金が取れるなら、何か入れたい」から始まっている——札幌・北海道の中小企業の現場に入っていると、この順番で進んだ案件が、導入後に使われなくなるのを何度も見ます。制度に合う投資を探すのではなく、先に軽くしたい業務を決めてください。順番を戻すだけで、通ったあとの結果が変わります
03 · National
国:デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
長年「IT導入補助金」と呼ばれてきた国の制度は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わりました。検索すると新旧の名前が混在しているのはこのためです。中身は、中小企業がソフトウェアやITツール(AIツールを含む)を導入する費用の一部を国が補助するもの。
- 通常枠:補助上限450万円・補助率1/2(賃金要件などを満たすと2/3になる場合があります)
- 対象は登録された「ITツール」の導入費用。汎用のパソコン購入だけ、といった使い方はできません
- 申請枠・スケジュールは年度内でも複数回設定されます
正確な公募スケジュール・対象ツールは公式サイト(デジタル化・AI導入補助金 事務局)で確認してください。
04 · AI
生成AIツール・研修・顧問は、国の補助金の対象になるか
「ChatGPTを全社で入れたい」「AI研修の費用に当てたい」「顧問料に使えないか」——国のデジタル化・AI導入補助金で最初に迷うのはここです。答えは「何を入れるか」で分かれます。事務局が公開している通常枠の要件(2026年9月11日閲覧)に沿って、入れたいもの別に整理します。
| 入れたいもの | 対象になるか | 条件・見る場所 |
|---|---|---|
| ChatGPT・Copilot などの汎用の生成AI | 登録されていれば対象 | 対象は事務局に登録された「ITツール」だけです。汎用サービスも、IT導入支援事業者が登録した形でしか申請できません。まず事務局サイトの「ITツール検索」で製品名を引くのが最初の一歩です。 |
| 業務ソフトに付いているAI機能 (会計・受発注・顧客管理・勤怠など) | 対象になりやすい | 通常枠は「業務プロセス」を1種類以上持つソフトウェアが必須で、汎用プロセスだけのツールは不可と明記されています。業務ソフトはこの要件に乗りやすい型です。 |
| 研修だけ・顧問(コンサル)だけ | 単独では対象外 | 通常枠はソフトウェアの導入が必須です。「導入コンサルティング・活用コンサルティング」「導入設定・マニュアル作成・導入研修」「保守サポート」は、登録ツールの導入に付随する役務としてなら補助対象に入ります。研修そのものを軽くしたい場合は人材開発支援助成金の側を見てください。 |
| 自社向けのAIエージェント・システムの受託開発 | この制度の型ではない | 登録済みITツールの導入が前提なので、個別開発は当てはまりません。別制度の検討になります(要件は各制度の公募要領で確認)。 |
| パソコン・タブレットだけ | 通常枠では不可 | ハードウェアはインボイス枠(インボイス対応類型)で対応ソフトと併せて導入する場合に限られます。 |
通常枠の要件で、金額に直接効くもの
- 補助額:業務プロセス1種類以上で5万円以上150万円未満、4種類以上で150万円以上450万円以下
- 補助率:1/2以内。地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全体の30%以上であることを示した場合は2/3以内
- クラウド利用料:最大2年分まで対象
- 申請の形:事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで申請します(複数者連携枠を除く)。自社だけでは申請できません
- 直近の締切:5次締切は2026年9月29日17:00、交付決定は11月9日予定、事業の実施と実績報告は2027年4月30日まで(事務局サイトの事業スケジュール、2026年9月11日閲覧)
出典:通常枠の要件(デジタル化・AI導入補助金2026 事務局)/事業スケジュール。要件は公募回ごとに変わることがあるので、申請前に必ず公募要領の最新版を確認してください。
05 · Sapporo City
札幌市:上乗せ+賃上げ型の2制度
札幌市は2026年度、市内中小企業向けに「中小企業DX加速化・賃上げ促進支援事業」を展開しています(専用サイト/札幌市の案内ページ)。DX・AI導入に直接関わるのは次の2つです。
① 札幌市デジタル化・AI導入促進補助金(上限225万円)
上の国の補助金(デジタル化・AI導入補助金)の交付決定を受けた市内企業が対象で、国の補助で賄いきれない自己負担分の1/2(上限225万円)を市が上乗せしてくれる制度です。単純化した例で言うと、900万円のIT投資なら国から450万円、残り450万円の半分=225万円を市が補助し、実質の自己負担は225万円まで下がる計算になります(あくまで上限に収まる場合のモデルケースです。実際の補助額は対象経費の判定によります)。
② 札幌市DX・賃上げ加速化補助金(上限500万円)
デジタライゼーションやDXに取り組み、2027年(令和9年)3月末までに平均賃金3.5%以上の引き上げを誓約できる市内企業が対象。補助率は1/2ですが、市内の中小IT企業と契約する場合は2/3に上がります。設備備品費・事業費に加えて人材育成費も対象に含まれるのが特徴です。
③ 同じ窓口にある、DX以外の3制度
「札幌市 補助金」で探していると混ざりやすいのですが、上の2制度と同じ支援サイトには、DX・AI導入とは目的の違う補助金も並んでいます。自社の投資がDXではなく設備側なら、こちらが本命になることがあります。
- 賃上げ応援補助金(補助率1/5・最大120万円)… 国の業務改善助成金の交付が確定している企業向け
- 製造業省エネルギー設備導入補助金(補助率3/4・最大500万円/共同受電の場合は4/5・最大3,000万円)… 製造業対象
- 先端設備等導入促進補助金(補助率1/5・最大500万円)… 先端設備等導入計画の認定を受けた企業向け
※ 上記3制度の数値は札幌市中小企業DX加速化・賃上げ促進支援サイトの記載(2026年7月26日確認)。要件・受付状況は必ず公式で最新をご確認ください。
06 · Support
申請の入口は補助金ではなく「最大8回無料」の伴走支援
ここまで金額の話をしてきましたが、札幌市の2制度で実際につまずくのは金額ではなく「DX推進計画をどう書くか」です。そして市は、その計画づくりのために専門家が最大8回まで無料で訪問する伴走支援を用意しています。補助金の前に、まずこれを使うのが現実的な進み方です。
伴走支援でやること(5ステップ)
- DXに関する理解促進(知識の共有・社内の意識合わせ)
- 現状の可視化(業務フローとデータの把握)
- 課題・ギャップの抽出(目指す姿とのズレの特定)
- DX推進計画の作成(ツール選定・導入計画)
- 補助金申請のサポート(制度の選定・書類作成の支援)
つまり「何をデジタル化すべきか分からない」段階から入って構いません。むしろ、その状態を整理するための支援です。
申し込みから成果報告までの流れ
- セミナーに参加する(制度の詳しい説明を受ける)
- 伴走支援に申し込む
- 専門家による現状分析・計画策定
- DX推進計画の完成
- 補助金を申請する
- 採択後、事業を実施する
- 成果報告
※ 伴走支援の回数・ステップ・流れは札幌市中小企業DX加速化・賃上げ促進支援サイトの記載(2026年7月26日確認)によります。件数上限があるため、受付状況は公式でご確認ください。
07 · How to
組み合わせ方と申請の進め方
制度の関係を踏まえると、札幌の中小企業の動き方はシンプルに整理できます。
- 「何をデジタル化・AI化するか」を決める。補助金はあくまで手段。対象業務が曖昧なままだと、DX推進計画も書けません。
- 市の伴走支援に申し込む。市の2制度はDX推進計画の作成が前提条件。計画づくり自体を専門家が最大8回まで無料で手伝ってくれるので、ここが実質のスタート地点です(前章参照)。
- 投資の性格で制度を選ぶ。ITツール導入が中心なら「国+市の上乗せ」ルート。賃上げとセットで設備・人材育成まで広く投資するなら「DX・賃上げ加速化補助金」ルート。
- 公募スケジュールに合わせて申請する。国・市とも年度内の受付期間や採択回が区切られています。必ず最新の公募要領で確認してください。
08 · Caution
現場で見てきた注意点
生成AI研修や導入支援で札幌・北海道の中小企業の現場に入っていると、補助金まわりで同じつまずき方を何度も見ます。
- 「とりあえずツール導入」で終わる。補助金でツールは入ったが、現場が使わない——一番多い失敗です。導入前に「誰が・どの業務で・どう使うか」まで設計し、研修や定着支援をセットにしてください(研修費用には人材開発支援助成金など別の制度が使えます)。
- 公募情報が古い。補助金は年度で名称・要件・金額が変わります。まとめ記事(この記事も含む)は入口として使い、申請判断は必ず公式の公募要領でしてください。
- 締切・件数の壁。市の事業は件数限定・先着順の運用です。「決算が落ち着いたら…」と後回しにすると、その年度の枠が埋まっていることがあります。
- 賃上げ誓約は軽くない。DX・賃上げ加速化補助金の「平均3.5%以上」は経営計画に直結する数字です。補助金ほしさに誓約するのではなく、生産性向上→賃上げの道筋が描けるかで判断してください。
09 · FAQ