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AGENTS.mdの書き方|指示書に何を書くか
この記事でできるようになること読み終えると、自分の仕事用の指示書を1枚書けるようになり、読まれないときにどこを疑えばいいかが分かります。
AGENTS.md は、AIエージェントが起動時にまず読む指示書です。Codexが読むのが AGENTS.md、Claude Codeが読むのが CLAUDE.mdで、中身の書き方はほぼ同じ、ファイル名だけが違います。特別な記法は要りません。普通の日本語のテキストファイルです。書くのは5つ、役割・起動時にすること・手順・やってはいけないこと・細かい決まり。そして最大の特徴は、この指示書自体をAIに書き換えさせられることです。手で更新し続ける必要がありません。
先日、非エンジニアの方にCodexを一から触ってもらう勉強会を開きました。こちらで用意した初期設定用の AGENTS.md を渡して、それを読ませるところから始める、という段取りです。
結果として、その日いちばん時間を取られたのは「指示書を書くこと」ではなく「指示書が読まれないこと」でした。書き方の説明より先に、そちらを書きます。
01 · Basics
AGENTS.md とは何か
ChatGPTを使っている方には、カスタム指示やプロジェクトの説明が近い、と言うと早いです。真っさらな状態から毎回始めるのではなく、「このやり取りはこういう用途です」を先に決めておく仕組みですね。
AGENTS.md はその役割を、フォルダの中に置いた1枚のテキストファイルが担うものです。Codexはそのフォルダで作業を始めるとき、まずこのファイルを読みます。だから中身には「起動時に必ず読んでください」と書いておきます。これは人間向けではなく、AI本人に向けた一文です。
| カスタム指示(ChatGPT) | AGENTS.md / CLAUDE.md | |
|---|---|---|
| 置き場所 | アプリの設定画面 | 作業フォルダの中 |
| 形式 | 入力欄 | テキストファイル |
| 長さ | 上限がある | 実質的に制限が薄い |
| 更新のしかた | 人が手で書き換える | AI本人に書き換えさせられる |
| 他ファイルの参照 | 添付で渡す | 同じフォルダのファイルを名前で指せる |
4行目が本質です。ここが、設定画面に文章を貯めていくやり方との決定的な差になります。詳しくは後半で書きます。
02 · Failure
読まれなかった実例と、その理由
勉強会で実際に起きたことを、順番に書きます。初めて触る人がつまずくのは、たいていこの型です。
| 起きたこと | 原因と直し方 | |
|---|---|---|
| 1 | 指示書をメールで送り、受け取ったリンクを渡した。Codexがブラウザを開こうとして止まり、アクセス許可を求めてきた | 渡していたのはファイルではなくメールへのショートカットでした。本人は素直にブラウザを見に行きます。ファイルの実体を作業フォルダに置き直して解決 |
| 2 | 作業フォルダを指定したのに「何もありません」と返ってきた | ファイルの実体はダウンロードフォルダにありました。移動したつもりで移動できていない、という取り違えです |
| 3 | 指示書を置き直したあと、何も言わずに同じ指示を繰り返してしまった | 「ファイルを入れ直しました」と一言伝えるだけで動きます。状況が変わったことは自分から言う必要があります |
3つとも、指示書の中身とは無関係です。ファイルが、指定した場所に、実体として存在しているか。これだけで大半が解決します。「読んでくれない」と思ったときは、文章を直す前にこちらを疑ってください。
似た形で、ファイル名の取り違えもあります。AGENTS.md と CLAUDE.md は中身がほぼ同じでも、名前が違うと読みに行きません。Codexに CLAUDE.md だけを渡しても無視されます。両方を使うなら、同じフォルダに2つとも置いてください。
03 · Write
何を書くか — 5つの要素
特別な記法は不要です。見出しと箇条書きのある、普通の日本語の文章で構いません。順番も自由ですが、次の5つが入っていれば動きます。
| 要素 | 何を書くか | 書き忘れると何が起きるか |
|---|---|---|
| 役割 | この仕事は何をするものか。誰の、どの作業を肩代わりするのか | 毎回こちらから説明し直すことになります |
| 起動時にすること | 「起動時に必ずこのファイルを読んでください」と明記する | 指示書を書いても読まれないことがあります |
| 手順 | 分析 → 企画 → 執筆 → レビュー のように番号で書く | 出力の質が日によってばらつきます |
| やってはいけないこと | 触ってはいけないフォルダ、勝手に公開・送信してはいけないもの | 取り返しのつかない操作が起きます。ここが一番大事です |
| 細かい決まり | 文字数、言語、口調、出力の置き場所 | 毎回こちらで直す手間が残ります |
初めて作るときは、完璧を目指さないでください。5行でも動きます。使いながら「ここが毎回ずれるな」と気づいたぶんを足していくほうが、結果的に早く仕上がります。
それと、最初に必ず聞かれる質問が1つあります。「変更してはいけないフォルダはありますか」です。答えを用意しないまま進めると、想定していない場所を触られます。デスクトップが散らかっているなら、始める前に1か所へまとめておくだけでも効きます。
04 · Example
実際に運用している指示書の中身
抽象論だけだと書きにくいので、筆者が実際に動かしているものの構成を出します。LinkedInの投稿を作るエージェント用の CLAUDE.md です。冒頭はこんな順番で並んでいます。
| 見出し | 中身 |
|---|---|
| 名前とバージョン | エージェントの呼び名。作り直すたびに版を上げる |
| 役割 | 投稿の目的、そして分析→リサーチ→企画→執筆→レビューという1周の流れ |
| 担当の範囲 | ニュースレターは別のエージェントの担当、と明記している |
| 共有するファイル | 2つのエージェントが同じ前提で動くよう、共通の設定ファイルを名前で指している |
| 起動時の指示 | 「起動時に必ず読んでください」——AI本人に向けた一文 |
| 細かい決まり | 日常投稿は1000〜1500字、日本語で書く、など |
この先には、過去の投稿から抽出した文体・よく使う単語・改行の位置・論の運び方が書かれています。情報を受け取ってから結論を出すまでの思考の順番まで、言語化して置いてあります。だから、ネタを渡すと自分が書いたのに近い形で出てきます。
正直に書くと、この中身の大半は筆者が書いたものではありません。本人が自分で書いたものです。全部を把握してもいません。そして、それで困っていない、というのがこのやり方の要点です。
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05 · Grow
手で更新しない。書き換えさせる
ここが、設定画面に文章を貯めるやり方との決定的な差です。指示書はAI本人が置いてあるフォルダの中にあり、本人がそれを開いて書き換えられます。
だから、次のような投げ方がそのまま通ります。
| 投げる言葉 | 起きること |
|---|---|
| 「この手順、おかしくないですか」 | 手順を見直して、指示書のその箇所を書き換える |
| 「私が書いたものと、あなたが書いたものが違う。なぜですか」 | 差分を突き合わせて、足りていない条件を指示書に追記する |
| 「もっと良いやり方はないですか」 | 代案を出し、合意した内容を指示書に反映する |
| 「不要なファイルを整理してください」 | 使われていないものを見つけて片付ける |
2行目が実務では一番効きます。出てきたものが自分の感覚とずれたとき、ずれたという事実をそのまま渡す。すると原因を探して、指示書の側を直します。人間が正解を言語化できていなくても進みます。
ただし、放っておくと散らかります。使い込むほどファイルとフォルダが増え、AIがあちこちを見に行くようになり、同じ情報が別の場所にできます。月に1回か2回、「いまの構成を整理してください」と頼むのを習慣にしてください。これも本人にやらせて構いません。
06 · Structure
フォルダの階層が、そのまま役割分担になる
指示書を書き始めると、すぐに「どの単位で作るのか」という問題に当たります。答えはシンプルで、フォルダ1つがエージェント1体です。そして、どの階層で開くかによって、扱える話題が変わります。
SNSを例にします。
| 開く場所 | 持たせる指示書 | できる話 |
|---|---|---|
| マーケティング(親) | 全体の目的、顧客像 | サイトとSNSをまたいだ戦略の話 |
| SNS(子) | なぜSNSをやるのか。集客か、認知か | X・Instagram・TikTokを横断した話 |
| X(孫) | Xのアルゴリズム、素材、投稿作成の手順 | Xの話だけ。Instagramの話は出てこない |
孫のフォルダで開けば、その範囲に集中します。親で開けば、またいだ判断ができます。視野の広さを、フォルダを開く位置で選んでいるという感覚です。
この構造も、自分で設計しなくて構いません。「こういう仕事をしていて、こう分けたい」と伝えれば、フォルダを作るところからやってくれます。最近はセカンドブレインという言い方をされますが、実態は、頭の中の分け方をそのまま画面の上に写しているだけです。
最初のうちは、どこに作っても構いません。自分の目に入る場所であれば十分です。問題になるのは増えてからなので、そのときに整理させてください。
07 · FAQ